2011年9月1日

「波紋」

土日のイベントが過ぎると来場者は少なくなりましたが、落ち着いて作品を感じ、来場者一人ひとりと話す時間が持てるようになりました

そうした時間のなかで、スタッフとしてどっぷり企画に浸かっていると見えない視点を頂いたり、様々な感想を聞くことで作品の感じ方が変化してくるのも楽しいです。


個人的に感じ方の変化した作品は、真部くんの「波紋」です。

数ヶ月前、作品の構想を聞いた段階では、静謐な空間に波紋が美しく広がる様を思い描き、焼き肉のタレも、ほんのりと香るくらいのもを想像していました。なので、出来上がった作品の匂いの主張をまえに思考停止してしまいました。

焼き肉のたれの甘い香りは、だんだんと酸味を増し、タレは微生物の培地になり、作品自体が変化しています。作品自体、生き物として日に日に成長します。

さて、今回の展示作品いちばんの “問題作” について、来場者の反応はどうだったか。ある人は、この匂いを思いの深さとして受け止め、またある人は、「不気味さ」と「かっこよさ」の両方を指摘し、子どもは逃げ出しました…。


二つの水滴は同時に落ちないので、二つの波紋はなかなか重なりませんが、ジリジリとしながら匂いに身を浸していると、その一瞬が訪れます。

写真は「匂い」や待つあいだの「時間」を写しません。匂いに浸されながら待つあいだ、理性とは別の回路がじわじわと押し広げられます。

朝鮮学校ダイアローグ 

http://www.artdialogue.jpn.org




1 件のコメント:

  1. ほんとに観察日記が書けますよね。この作品。会場に行くと、心配で見に行かずにはいられないです(笑)。

    返信削除